独自開発のリンゴ酵母で吟醸酒ブームをリードしてきた美酒の蔵
誠鏡(せいきょう) 中尾醸造株式会社
『誠鏡』 はこんな酒
明治4年(1871年)創業の中尾醸造は、爽やかな酸味とフルーティな香りを引き出すリンゴ酵母を発見したことで有名な蔵。このリンゴ酵母を使用し、吟醸酒の人気を先導してきた「まぼろし」は、現在でも国内外から高い評価を得ている。
このリンゴ酵母を使用し、吟醸酒の人気を先導してきた「まぼろし」は、現在でも国内外から高い評価を得ている。
また、コストパフォーマンスが高いという評判の純米酒は、首都圏の料飲店を中心に昨今、支持を集めている
ユニークなリンゴ酵母の「まぼろし」と値ごろ感が高い純米酒が人気

■ 誠鏡 銘柄ラベル
「杯に注いだ酒の表情を鏡にたとえ、蔵人の誠の心を映し出してほしい」という思いが込められた「誠鏡」の銘柄で知られる明治4年創業の中尾醸造。
中尾醸造を語るうえで欠かせないのが、独自に開発されたリンゴ酵母。
4代目当主の中尾清磨が当時の東京帝国大学教授の坂口謹一郎氏とともに日本全国を訪ね歩いて2000以上もの酵母を収集し、一つ一つ慎重に発酵試験を繰り返し、昭和15年に発見したのがこの酵母でした。
爽やかな酸味とフルーティな香り、強いアルコール発酵力を持つこの酵母を使用した酒は、昭和23年の全国鑑評会第1位となり、その後「皇室御用酒」の栄誉に輝きます。

■ 明治4年に竹原に生まれた蔵元
昭和49年に皇室御用酒の製法を忠実に反映した大吟醸「まぼろし」を世に送り出して以来、中尾酒造は吟醸酒ブームをリードしていきました。
1本1本手作業で醸す「まぼろし」の存在感は現在でも際立っており、特にシリーズ最高峰の『誠鏡 大吟醸 まぼろし 黒箱』は、2009年9月からANA国際線ファーストクラスの機内食用のお酒として採用。
また、ロシアのプーチン首相が来日した際にも飲まれるなど、日本の顔としての一翼を担っています。
リンゴ酵母で世界に認められた「まぼろし」とともに人気を得ているのが、日常酒としてのウケが良いリーズナブルな純米酒。
試飲会などで各地を回ると、辛口が好きだというお客様がいらっしゃいますが、酸が効いているうちの酒を飲んでいただくと、辛口とうたっている他県の蔵元のお酒よりも好まれることがあります」

■ 代表取締役 中尾 強志氏
中尾社長からはこんなエピソードもおうかがいしましたが、巧みに調和が取れた酒造りを志向されているからこそ、言葉でイメージする甘口よりも甘さを感じさせず、想像よりずっと多彩な味わいを感じさせてくれるのでしょう。
創業当時の酒質に最も近い『誠鏡 純米たけはら』は、1升瓶2,000円以下で買えるお酒としては高品質で、“燗にして抜群のコストパフォーマンスが高い酒”として、特に料飲店で注目を集めているそうです。
お話では、最近は1升瓶で2500円以下の手頃かつ良質なお酒を求める傾向が強くなっており、日本酒業界は今後、いっそう適切な値段と実力が問われてくるとのこと。
そんな現状の中での純米酒の健闘ぶりは、リンゴ酵母を開発した蔵元の手間を惜しまない丁寧な造りに裏打ちされているのだと思います。
首都圏を中心に人気を集めている純米酒、これからも目が離せません。
蔵元より一言 代表取締役 中尾 強志氏