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「華鳩」ブランドを世に送る榎酒造は、貴醸酒という日本酒業界の新しいジャンルに挑戦し続ける蔵としてあまりにも有名な蔵元。

米＋米麹＋天然水」で造る通常の日本酒に対し、貴醸酒は「米＋米麹＋日本酒」が原料で、仕込み水の代わりにお酒を使って造られています。

平安時代初期の『 延喜式（えんぎしき） 』という古文書にさかのぼる貴醸酒は、外国の来賓を接待する際に飲んでいただくお酒として、昭和に入って古文書をもとに、1973年に醸造試験場で甦りました。

しかし、上質な仕込み酒を使う必要があり、かつ何年も熟成を待つ必要がある高コストの酒を造る蔵は少なく、全国的に見ても未だに30弱の蔵しか取り組んでないという稀少な存在です。

そんな貴醸酒の製造法が公開された時、真っ先に商品化に着手したのが榎酒造でした。それから30数年の間にワインのヌーボーのような若飲みの『さわやか貴醸酒』から、熟成感たっぷりの『貴醸酒20年熟成大古酒』という古参まで、様々なバリエーションの貴醸酒を開発。貴醸酒造りの経験を培う中で、生産量、技術力ともに抜きん出た存在となりました。

古酒の香りをマスキングしてみようという試みから、オーク樽の導入を導入し造った『貴醸酒オーク樽貯蔵』など、果敢にチャレンジするパイオニア精神がこの蔵の身上です。

■ 蔵には貴醸酒を貯蔵するためのオーク樽が並ぶ

貴醸酒はよく「貴腐ワイン」と並び称されることが多く、華鳩の貴醸酒はニューヨーク・タイムス紙で取り上げられるなど、その評価は海外でも高い評価を得ています。

世界最大のワイン品評会「IWC」に新設された酒部門でも2008年に古酒の部で、『貴醸酒８年貯蔵』が最高の金賞を受賞し、その実力の高さを証明しました。

そんな貴醸酒には、“特別な造りの酒”という独特のイメージが伴いますが、その品質は貴醸酒の元となるしっかりとした純米酒の造りがあってこそ。

過去に全国新酒鑑評会金賞、広島県酒類品評会第一位など、４冠を達成して杜氏としてデビューを飾った、研究熱心な藤田杜氏をはじめ、30代の若い蔵人達が、より良い酒造りを目指しています。

■ 代表取締役社長 榎 俊宏氏

蔵では現在、「お燗にして美味しい酒を造ろう」ということから、飲みやすい生?（きもと）造りにも挑戦。減農薬米を使用した『生もと華鳩 純米』を造り出すなど、純米造り、生もと造りのレベルも年々アップしているそうです。

実際に華鳩の『生もと大吟醸』を口にしたのをきっかけに生もと造りのファンになる人も多いとか。

貴醸酒のベースとなる造りをしっかりと行い、若いスタッフが常に新しいことにチャレンジしているからこそ、熟成貴醸酒においても国内屈指の評判を得ていることが分かります。