「酒造り」について知ろう
伝統の「酒造り」を知ろう
杜氏(とうじ)って?
★ 蔵の「造り」を束ねる、酒造りの「長」のこと酒造りの総責任者のことです。酒造りに関する一切の責任を任され、作業を進める、酒造りの中心となる人です。各銘柄の製造行程のスケジュールを考え、原料の酒米の状態、天候などから各工程での担当者に適切な指示を出していく。
お酒の味を左右する、麹造りにおいては、今まで培ってき杜氏自身による技術と勘による判断が重要になってきます。統率力、判断力、管理能力に秀でた人格者であることが必要とされています。
お酒を造る上で、お酒を大事に育てて造っていくこと、そしてそのお酒を造っていく蔵人をまとめて率いていくこと・・・これが杜氏の役割なのです。
杜氏の語源には、いろいろな説ありますが・・・昔、酒造りは一家の主婦の仕事であり、その主婦が「刀自(とじ)」と呼ばれていたところから「杜氏(とうじ)」となった、というのが代表的な説のようです。
各工程の説明
図解 : 酒造り工程
▼ 精米 ▼ 酒米の精米
まず、酒米を精米する。普通、70%以下に精米する。これは、雑味になる米のタンパク質を取り除くためです。精米歩合は吟醸酒などになると60%以下に変わってくるが、50%以下の精米歩合になると、精米に数日掛かることもあるそうです。
▼ 洗米・蒸米 ▼ 米を洗い、給水をさせてから蒸す
精米した米を洗う(洗米)。洗った米は吸水してから蒸す。米の水分量によって蒸米の状態が変わり、後の工程に影響する。それだけに、米を水に浸す時間は、杜氏の経験と勘がものを言う部分だ。
▼ 麹づくり ▼ 酒の味が決まる重要な行程!!
蒸し米を30℃~32℃くらいの温度に冷まし、麹菌の胞子を種付けし、麹づくりを行う。床期間と棚期間40~48時間に分けられ、30~42℃の温度に保って、麹菌を米粒の内部まで、混ぜ込ませる。麹づくりは杜氏がもっとも気を使う工程になる。麹づくりの米の使用量は全体の2割程度だが、これで酒の味が決まることになるからだ。
▼ 酒母 ▼ 「酒のもと」となる酒母づくり
小型タンクに汲んだ水に、冷ました蒸し米と米麹を入れ、そこに培養された酵母を加える。しばらくすると自然に発酵が進み甘酸っぱい香りの、どぶろく状の酒母ができる。麹づくりと並行して行われる。
▼ 三段階に分けて酒を仕込む ▼ 三段仕込みと言います!
酒母を大型タンクに移し、蒸米・麹・水を加える。仕込みは日をあけて、3回に分けて行われる。1回目を「初添え」、2回目を「仲添え」、3回目を「留添え」という。一度に全部入れてしまうと、酵母の濃度が薄れ、雑菌が繁殖しやすくなるためだ。この「三段仕込み」は日本独特の方法で、古くは室町時代に確立されたという。
▼ もろみ ▼ じっくり発酵させ、貯蔵する
発酵が進むと、「もろみ」から泡立つ状態が続き、約20日でアルコール発酵が終わる。このもろみを搾ると新酒となり、搾った残りは、酒粕となる。酒をろ過し、火入れという加熱殺菌を行い貯蔵する。
▼ 圧搾 ▼ もろみを搾る
発酵を終えた、もろみを圧搾機で搾り、酒と酒粕に分ける。
▼ 新酒・清酒 ▼ 新酒を貯蔵・火入れ・瓶詰め
搾りたての新酒を、ろ過して火入れ(加熱)をし、貯蔵します。ただし、場合によってはろ過をしない場合もあります。
搾った後、一切の火入れ(加熱処理)を行わないものを生酒といい、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際、瓶詰めの直前に加熱処理をしたお酒を生貯蔵酒といいます。
酒造りは、初冬の11月頃から始まり、それが新酒として市場などに出回るのは6月頃になる。さらに、熟成させた酒が出荷されるのは秋頃となり、酒造りは約1年という長丁場で行われるものなのです。